世代レベル

どうも。

 

今回はJRAの過去と現状、今後について、個人的な考えをつらつら綴っていこうと思います。血統ベースの話をだらだらと書くので興味がなければ美波・彩親子を眺めて回れ右をしてもらって大丈夫です。

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まず、今から書くことについて、なぜこんなことを考えようかと思ったかというと、今年の4歳世代が低レベルだと騒がれていたことがきっかけです。4歳世代のレベルが低いというなら、5.6歳はそれなり高く、3歳や、今後デビューする2歳世代もそれらに匹敵するレベルの高さでないと、「4歳世代の」レベルが低いとは言えないと思います。ではなぜ、現時点で現4歳世代のレベルが低いと言われてしまっているのか、血統の側面から日本競馬の歴史を振り返りつつ考えていきます。

 

日本競馬の飛躍は間違いなくサンデーサイレンスというスーパー種牡馬の導入から始まりました。そしてそのサンデーサイレンスの最高傑作ディープインパクトにより、その勢力を維持してきました。その2頭がいかにすごかったか、独自の方法で紹介します。

 

わかりやすく説明するために、指標となる「種牡馬指数」というものを以下の条件に沿って出します。

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3歳G17競走体制が確立した1996年以降で、対象レース優勝馬種牡馬にポイントをつけ、その和をその年の3歳世代(一時期は4歳世代)の「種牡馬指数」とします。もちろんその世代の最も活躍した馬が遅咲きであり3歳時には頭角を現してしない場合や、そもそもこちらの集計ミスで値が間違っていることも想定され、正確さは低いですが、分かりやすさという面で使わせてもらいます。

独自の年代別種牡馬指数が以下の通りです。

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(※同着は点数を2分の1)

最初にサンデーサイレンス(サンデー)。96年から05年までの10年間でトップ6回の8連対。連対を外すこともありましたが、2年連続で連対を外したことはありませんでした。日本ダービー三連覇、皐月賞00から05年の6年間で5勝。最高値は2003年の75で、スティルインラブ牝馬三冠が大きく影響していますが、同世代の牝馬ナンバー2であったアドマイヤグルーヴもサンデー産駒。同年の菊花賞馬は父父がサンデーのザッツザプレンティが優勝していて、実質落としたのはNHKマイルだけという無双世代でした。そして晩年の2005年、ディープインパクトを輩出し、時代の終わりを迎えます。

 

次は2011年の桜花賞制覇を皮切りに、時代を席巻するディープインパクト産駒。桜花賞四連覇、日本ダービー7勝のほか、秋華賞菊花賞でも三連覇を含む5勝ずつをあげています。サンデー産駒が果たせなかったNHKマイルCの優勝馬も二頭出していて、11年から22年までの間、クラシックを勝てなかった年がありません。最高値は2016年でサンデーと同じ75。すごいところはディーマジェスティマカヒキサトノダイヤモンドの異なる三頭で、牡馬クラシックを制する離れ業をやったところです。2017年こそ連対を外しましたが、それ以外は22年まで全て連対。ただ、死亡したことに伴いもう新たな産駒を見ることはできません。

 

22.23年とドゥラメンテが連覇していますが、この馬も早逝してしまったので、覇権は長くは続きません。

 

さて、ある意味ここからが本題です。平成初期から数年前まで競馬界をリードしてきたサンデー→ディープの2頭ですが、綺麗にバトンタッチできたわけではありません。サンデー産駒が減り、一線級のディープ産駒が登場するまでの06年〜10年までの5年間、2頭のいずれも連対できない「空白の時代」があるんです。その5年間について見ていきます。

 

06年、反主流といえるオペラハウス産駒メイショウサムソンが牡馬二冠を達成。菊花賞馬はエルコンドルパサー産駒のソングオブウインドで、サドラーズウェルズの血を引く馬が牡馬三冠を制覇するという珍しい年となりました。07年に至っては、ロベルト系産駒の牝馬ウオッカにダービーを譲る始末。皐月賞ブライアンズタイム産駒、菊花賞ホワイトマズル産駒が勝利。牝馬路線でアグネスタキオン産駒のダイワスカーレットが世代を引っ張ったとはいえ、牡馬クラシックの勝ち馬種牡馬を見ると、時代を10年以上遡ったかのような重種牡馬の名が並びました。08年、09年はアグネスタキオンネオユニヴァーススペシャルウィークと、サンデー後継種牡馬が頑張りますが、10年はキンカメ産駒が牝馬三冠、キングズベスト産駒がダービー制覇と、キングマンボ系に持ってかれた年でした。

 

この空白の5年間、牝馬は、ダイワスカーレットウオッカブエナビスタなど牡馬ともわたりあった女傑が多く誕生しますが、牡馬はというと、メイショウサムソンディープスカイナカヤマフェスタヴィクトワールピサローズキングダムなど、前述した女傑たちにやられた印象が残る馬ばかりで、海外成績を見ても、ナカヤマフェスタ凱旋門賞2着、ヴィクトワールピサドバイWC制覇はあるものの、その前後に活躍する時代を引っ張った一流馬と比べると、見劣りするものがあります。

 

これらを踏まえると、サンデーとディープが日本競馬を牽引してきたが、こうした「超一流種牡馬の産駒がいなくった直後は日本競馬自体のレベルが下がり」、それに乗じて「牝馬の時代」、影が薄かった「反主流種牡馬の台頭」がやってくるのではないかとという仮説が立てられます。

その兆候はすでに始まっていて、去年の日本ダービーを制したのがサトノクラウンの産駒だったのが良い例でしょう。

このことから、4歳世代が弱いのではなく、日本競馬のレベル低下が始まりましたのだと思います。このためこれからは、牝馬、反主流種牡馬に注目すべきと思います。

 

今後を日本競馬界で注目したい血統ですが、

キングマンボ系

これは言うまでもなくといった感じで、先ほどの種牡馬指数でも、キングマンボ系は96年〜23年で9連対しています。サンデー系の2番手の位置付けだけに、サンデー系の勢いがなくなるなら当然浮上してくるでしょう。

ノーザンダンサー系(欧州)

何回か名前をあげたメイショウサムソンや世紀末覇王テイエムオペラオーの父オペラハウス、スペシャルウィークエピファネイアが内包しているニジンスキーアグネスタキオンニジンスキーの近親内包)、ステイゴールドダイワメジャーの母が持つノーザンテーストなど、サンデー、ディープが結果を残せなかったタイミングで結果を残した馬たちには、ノーザンダンサーの血が流れています。近年では見せ場の無かった直系、またはサンデー系ならノーザンダンサー内包馬に出番が増えると踏んでいます。

 

ディープ産駒無双であった大阪杯も、今年は1着キングマンボ系×ノーザンダンサー系、2着ノーザンダンサー系×キングマンボ系での決着。今後は過去の傾向にとらわれず、新しい視点で馬券検討をしていきたいと思います。

 

長くなりすみません。最後まで読んでいただいた人がいましたら、とてもとても感謝です。

 

お付き合いいただきありがとうございました!